2022-06-01

宅建業法の改正

「デジタル社会」の形成を目的としたデジタル改革関連法整備の一環として、宅地建物取引業法が改正されました。

今回の改正により、重要事項説明書やいわゆる37条書面等、不動産取引にあたり宅地建物取引業者が交付すべき書類について押印が不要となり、また、紙ではなく電磁的方法による交付が可能となりました。

不動産業界は、これまで、重要事項説明書や37条書面等について「紙による交付」が義務付けられていたため、電子契約化が遅れていました。

しかし、今回の改正により、これらについて「紙による交付」が不要となったため、不動産取引の場面でも、今後、電子契約化が進んでいくと考えられます。

不動産の売買や賃貸は、どのような会社でも行う可能性がある取引です。

この機会に宅地建物取引業法とはどのような法律か、また、今回の改正で何が変わったかを再確認してみてはいかがでしょうか。

この記事では、宅地建物取引業法の知識がない方にも、基本から分かりやすく改正のポイントを解説します。

宅建業法改正のポイント

宅建業法上必要とされていた以下の押印が不要となりました。

・ 重要事項説明書への宅地建物取引士の押印

・ 宅地又は建物の売買・交換・賃貸契約締結後の交付書面への宅地建物取引士の押印

以下の書面交付につき、電磁的方法による交付が可能となりました。

・媒介契約・代理契約締結時の交付書面

・レインズ登録時の交付書面

・重要事項説明書

・売買・交換・賃貸契約締結時の交付書面(37条書面)

電磁的書面による交付

2013年に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」に基づき様々なIT化施策が検討される中、対面が原則であった重要事項説明についても、2015年8月から「ITを利用した重要事項説明」の社会実験が行われました。

また、2019年10月からは「重要事項説明書等の電磁的方法による交付」の社会実験も行われました。

今回の改正では、これらの社会実験の結果を踏まえ、旧宅建業法では書面による交付が義務付けられていた書面のうちいくつかについて、電磁的方法による交付が認められることとなりました。

今回の改正により電磁的方法による交付が認められることとなった書面は以下の4つです。

・ 媒介契約・代理契約締結時の交付書面
・ レインズ登録時の交付書面
・ 重要事項説明書
・ 37条書面

その他の改正

今回のデジタル改革関連法による宅建業法改正の内容は以上のとおりですが、不動産取引の態様やその際に必要な情報等は時代に応じ変化していくことから、宅建業法関連法令については、毎年のように細かい改正がなされています。

特に、重要事項説明書への記載事項についての改正は多く、最近でも、以下の内容が、説明・記載すべき重要事項として追加されています。

・水害ハザードマップにおける取引対象の宅地又は建物の所在地等の水害リスク情報(2020年8月28日から)

・改正後の改正踏切道改良促進法に基づく制限(2021年9月25日から)

・ 改正後の特定都市河川浸水被害対策法に基づく制限(2021年11月1日から)

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