2023-07-01

賃貸住宅修繕共済のご紹介

今回は2021年11月に国土交通省から認可されました、「賃貸住宅修繕共済」をご紹介します。
所有する賃貸住宅の価値を維持するために不可欠な大規模修繕。
この共済活用について、所得税と相続税の二つの側面から解説します。

毎年拠出の掛け金は、その年の損金として認められる

①預金で修繕資金を積み立した場合
たとえ将来の大規模修繕に充てる為でも、その預金は必要経費となりません。
従って毎年所得税を納めた残りの資金から捻出することとなります。

また、必要資金の積み立てといっても、出し入れ自由な預金となると他の支出に充ててしまう可能性もあるため、いざ大規模修繕が必要となった時に、資金が確保できていないという事態をまねく恐れもあります。

②賃貸住宅修繕共済を活用した場合
共済金は全額必要経費となりますので、預金などで大規模修繕費用を準備するよりも備えやすいと言えます。

また毎年の経費を平準化できるので、所得税の適用税率が変わることによる節税メリットも期待できます。加えて、定められた修繕以外では使えないため確実に大規模修繕の備えができることになります。

共済掛け金の相続税評価はゼロ

もうひとつの問題として、預金で積み立てると、積み立てたお金にも相続税が課税されるという点が挙げられます。

相続税の最高税率は55%。仮に20年後の大規模修繕に備えて毎年200万円積み立てていったとします

20年後に大規模修繕に着工する直前の最悪のタイミングで相続が発生した場合、積み立てた4,000万円の資金に相続税が課税され、半分も残らない可能があります。

20年後は極端な例ですが、どのタイミングであっても預金の場合、相続税の対象になることに変わりはありません。

②賃貸住宅修繕共済を活用した場合
では共済を利用していたケースでは、契約期間中に相続が発生したときの評価はどうなるのでしょうか。

通常、火災共済契約などの評価方法は前払い部分や積立金部分で構成される解約返戻金相当額で評価することになります。

従って、満期や解約による返戻金が無い賃貸住宅修繕共済は、現行の相続税法では評価はゼロになると考えられます。

従って、相続税の納税による資金の減少が無い大規模修繕への備えとして期待できることになります。

但し、今後新たな取扱いが定められる可能性も無いとは言い切れませんので、相続対策としてのみの活用はお勧めしません。

ご自身の保有する賃貸住宅の収益性や価値を維持するためと捉えるべきでしょう。

注意点

賃貸住宅修繕共済は掛け捨てのため、税メリットが期待できる一方で注意点があります。
以下主な注意点です。

①掛け捨ての為解約返戻金はない

②共済を利用するためには組合に加入が必要

③共済掛金の総額から事業費等の手数料が控除される

④外壁と屋根の原状回復工事のみが今のところ対象

⑤解体費用には使えない

⑥共済金は修繕を実施した指定業者に直接支払われる

⑦毎年定期検査を受ける必要あり

⑧長期修繕計画の策定が必要 
※計画作成の場合 国交省が発行している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」を参考。

その他詳細は取扱代理店にてご確認下さい。

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